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プロダクトストーリー:目立ちにくさにこだわった〈バスラックシール〉

〈バスラックシール〉は、オストメイト※1の入浴に対する課題(ストーマ装具※2を目立たせたくない)の解決と、ニーズ(人目を気にせず入浴を楽しみたい)の実現を目指し、オストメイトの想いに寄り添って開発した入浴用シールです。

バスラックシール

目立たせたくないニーズの解決につながるデザインはどのようにして生みだされたのか、〈バスラックシール〉のプロダクトストーリーをご紹介します。


※1 さまざまな病気や事故などにより、お腹に排泄のための「ストーマ(人工肛門・ 人工膀胱)」を造設した人
※2 ストーマから排出された排泄物や分泌物を溜める専用の装具のことで、ストーマ装具は排泄物を溜めておくストーマ袋(パウチ)と、ストーマ袋をお腹に粘着させる面板から構成されている

〈バスラックシール〉商品ページはこちらから

https://www.alcare.co.jp/stoma-care/product/accessories/bathrelaxseal.html

〈バスラックシール〉の開発背景

オストメイトが日常の中で感じる入浴の困りごと

日本オストミー協会の「第9回オストメイト生活実態基本調査報告書」※3によると、オストメイトの公衆浴場や旅館・ホテルにおける大浴場の利用状況について、65.3%が利用しないと回答しており、その理由としては「他人の目が気になる」「他の人の迷惑になるのを避けたい」「装具交換等が面倒である」「入浴を断られた」などがあげられています。

日常生活の困りごとアンケートの結果

特集記事として読んでみたいと思うテーマのアンケート結果

また、アルケアが発行するオストメイト向け無料情報誌「向日葵(ひまわり)」で実施した「日常生活の困りごと」に関するアンケート※4で、「入浴」は第2位になっています。

さらに、「特集記事として読んでみたいと思うテーマ」に関するアンケート※5では、「温泉や大浴場の入り方」が第2位にあがりました。

※3 出典:オストメイトの生活と福祉(令和4年11月) 公衆浴場や旅館・ホテルにおける大浴場の利用状況(N=3,930・複数回答)
※4 調査方法:オストメイト向け無料情報誌「向日葵」内の読者アンケート、調査期間:2020年8月~10月、調査対象:オストメイト向け無料情報誌「向日葵」読者(N=734・複数回答)
※5 調査方法:オストメイト向け無料情報誌「向日葵」内の読者アンケート、調査期間:2022年3月~7月、調査対象:オストメイト向け無料情報誌「向日葵」読者(N=942・複数回答)

「入浴」の困りごとを解消したい

アルケアのお客様相談室には、以前から毎月のように「入浴」に関するお問い合わせが寄せられています。商品開発中の2021年7月〜2022年6月の1年間においても127件ありました。
お問い合わせの多くは入浴に適したストーマケア用品や、温泉でも目立ちにくい入浴方法についてでした。

入浴に関する調査結果やお客様相談室に寄せられた多くの声から、「ストーマ装具を目立たせたくない」「人目を気にせず入浴を楽しみたい」というオストメイトの想いに寄り添い、サポートをする入浴用シールの開発が始まりました。

ストーマ装具が目立ちにくいデザイン

テレビ番組で見た錯視効果がヒントに

厚みがあるストーマ装具の上から入浴用シールを貼ると、どうしても凹凸が出てしまい、装具の膨らみが目立ってしまいます。これを改善するにはどうすれば良いか頭を悩ませていた開発担当者が、たまたまテレビ番組で目にしたのが「錯視効果」でした。「錯視」にはさまざまなデザインがあることを知り、視覚情報処理研究で著名な東京大学四本研究室にストーマ装具を目立たせない錯視デザインの監修を依頼しました。

100以上のテクスチャの検証から導き出した目立ちにくいデザイン

凹凸が目立たないデザインを見つけ出すために、シール表面のテクスチャ(外観)について、クレーター錯視・ランダムドット・色平均化など100以上のテクスチャデザインの候補を検証しました。その中から凹凸が目立ちにくいデザインである「まだら模様」を採用しました。

バスラックシールのまだら模様

デザインを形に、商品化に向けて

「まだら模様」のデザインが再現できない?

シールの表面に出来上がったデザインの印刷を試みましたが、色の濃淡が混在するためにベージュ1色になってしまい、まだら模様をうまく再現することができませんでした。

印刷方法?コントラスト?試行錯誤の末に

デザインだけではなく、印刷方法についても試行錯誤を繰り返しました。最終的に、白+ベージュのまだら模様+ベージュのまだら模様の3つの異なる版を作成し、その3つを重ねて印刷することで、ついに目立ちにくい「まだら模様」の再現に成功しました。

凹凸が目立ちにくいだけではない、
〈バスラックシール〉のこだわりポイント

肌の色へのなじみが良くシール自体も目立ちにくい

まだら模様によって装具のふくらみが目立ちにくいデザインとなりましたが、シールそのものが目立ってしまったら意味がありません。そこで、まだら模様に加え、端にいくにつれて色が薄くなるグラデーションを採用することで肌の色へのなじみが良く、シールそのものの目立ちにくさも実現しました。

貼りやすさを意識したユーザビリティ

ストーマ装具をコンパクトに固定する仮留めシールがあるため、両手を使ってバスラックシールを貼ることができます。

仮留めシール

仮留めシール

また、剥離紙が分割構造となっているので、粘着面同士がくっつきにくく、貼りやすい構造となっています。

バスラックシールを貼付している様子

ストーマ装具が濡れにくい防水性

入浴後の濡れてしまったストーマ装具を乾かす手間を減らせるように、ストーマ装具全体を覆い、濡らさないようにする防水機能も備えています。

〈バスラックシール〉の名に込めた想い

商品名の〈バスラックシール〉の「バスラック」は、「お風呂(バス)」と「リラックス」を組み合わせた造語です。
お風呂の時間をリラックスできる時間にしてほしいという想いが込められています。

2024年度グッドデザイン賞を受賞

〈バスラックシール〉が2024年度グッドデザイン賞を受賞しました。
目立ちにくいデザインやユーザビリティだけでなく、オストメイトの方のQOL向上に向けた社会的な意義についても評価されました。


グッドデザイン賞に関するニュースリリースはこちらから
https://www.alcare.co.jp/stoma-care/news/information/20241028-1.html

グッドデザイン賞 受賞ギャラリーはこちらから
https://www.g-mark.org/gallery/winners/20701?years=2024

Gマーク

最後に、商品担当者から伝えたいこと

オストメイトはストーマ装具を正しく装着することで、自宅でも、公衆浴場でもストーマ装具のままで問題なく入浴することが可能です。しかしながら、「入浴」に関して多くの困りごとを抱えられているのも事実です。
〈バスラックシール〉がオストメイトの皆様の困りごとを少しでも解決し、入浴を楽しむお手伝いができれば喜ばしい限りです。

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