入浴は身体を清潔にするだけでなく、血液の循環や新陳代謝を促したり、ストレスを解消し心身ともにリラックスするなどの効果があります。
「入浴がストーマに悪い影響を与えるのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、入浴することでストーマにトラブルが起こることはありませんのでご安心ください。
ストーマ装具をつけたままでもシャワーを浴びたり、湯船に浸かったりすることができます。
入浴する時に気になることの一つに「発汗」があります。
入浴後、汗をかいた時の対策についてご紹介いたします。
汗をしっかりと拭き取る
入浴直後は発汗量が多くなるため、そのままストーマ装具を装着すると剥がれの原因となります。
入浴後にストーマ装具の交換を行う場合は、しっかり汗を拭き取ってから装着すると良いでしょう。
また、汗によりストーマ袋下の皮膚が蒸れてしまうことがあります。蒸れた状態のままでは皮膚トラブルの原因につながります。ストーマ袋下の皮膚の汗をきちんと拭き取ることが大切です。
向日葵読者の方の入浴後の工夫も参考になるので、ご覧ください。
○向日葵オンライン 特集・イベント報告 教えて!みんなの工夫 02入浴後の工夫
https://www.alcare.co.jp/stoma-life/himawari/feature/ingenuity.html
装具の交換間隔の調整
発汗状況や湯船に浸かる回数に応じて交換間隔を1日早くするなど、皮膚保護剤の吸水性や粘着力が維持できるように、面板のふやけや溶けの状況を見ながら適切な交換間隔を判断しましょう。
交換間隔の目安はコロストミーの場合は、皮膚保護剤の切り口から1cm程度のふやけや溶けがある状態、イレオストミーの場合は、皮膚保護剤の切り口から5mm程度ふやけや溶けがある状態が交換時期です。
ウロストミーの場合は、皮膚保護剤の切り口から5mm程度ふやけや溶けがある状態が交換時期です。
目安よりも多くふやけたり、溶けたりしていた場合には、まず1日早め(例えば、通常4日交換を3日交換にするなど)に交換してみて、 ふやけ具合や溶け具合を確認してみましょう。
短期交換装具の選択
発汗対策 の一つとして、短期交換装具を使用するという方法もあります。
装具のもちが悪くなるため入浴回数や入浴時間を制限している方も多くいます。※1
短期交換装具を使用することで、装具のもちを気にすることなく、入浴することができます。
短期交換装具を使用したことで入浴回数が増え、シャワー浴から全身浴へと質的変化を認めたという調査報告もあります。※2
中長期交換装具の交換間隔を短くして使用した場合と比較し、短期交換装具を使用した方が1枚当たりの単価が安く、コストを気にせずに装具交換をすることができます。
湯船に浸かりたい日が多い時は短期交換装具を使用し、それ以外の日は中長期装具を使用するなど、生活シーンに合わせた装具を選択することも考えてみてはいかがでしょうか。
※1 NPO法人ストーマ・イメージアップ・プロジェクト ストーマ保有者の困った経験の実態調査報告書2020 2.1)日常生活で困った経験
※2 文献:短期間で交換可能な一品系人工肛門装具(ユーケアD)の有用性についての検討 著者名:佐々木一晃 掲載誌名:臨床と研究 発行年:2001年
最後に
ストーマ装具をつけたまま入浴するとき、「発汗」対策を必ずしもとる必要はありませんが、気になる方は、今回ご紹介した対策例を参考に、より安心して入浴を楽しんでいただけたら嬉しいです。