外出や旅行は、手術後どのくらいの時期から可能になるのでしょうか?
ストーマ造設後も、外出や旅行を楽しむことは十分に可能です。そのためには、体力がある程度回復し、装具を適切に使って漏れなく管理できていることが大切です。当院では、多くの患者さんに退院後10日〜2週間で最初のストーマ外来を受診していただきます。手術後しばらくは、食欲が落ちることもありますが、食事がとれるようになるにつれ体力も自然に戻ってきます。
体力の戻り方には個人差があり、退院後最初のストーマ外来受診時には、「思ったより体力が戻らない」と不安になる方もいますが、1か月後の次の外来受診時には元気になっている方が多いことをお伝えしています。焦らず、ご自身のペースで回復していけば大丈夫です。
ストーマ管理に慣れ、ケアや体力への不安が減ってくると、外出や旅行を再開しやすくなると思います。ご自身が「そろそろ出かけられそう」と思えることが、ひとつの目安になるでしょう。
外出への一歩として、まずは何から始めれば良いでしょうか?
最初の一歩としては〝トラブルがあっても、すぐ家に帰れる距離〞の外出がおすすめです。近所にスーパーなどがあれば、ちょっと買い物に行ってみる。そこから少しずつ出かける範囲を広げていくと良いと思います。短時間の外出でも、無事に行って帰ってこられたという経験は大きな自信になります。
少し離れた場所へ出かける際は、あらかじめホールカットした装具を4〜5枚と、剥離剤やガーゼなどのアクセサリー類も併せて持参してください。これは、万が一の災害対策としても重要です。仕事をしている方は、職場にも装具を置くなど〝分散保管〞をしておくと、帰宅困難時の備えにもなります。
通勤などで電車やバスなどに乗る場合、移動中の排泄が心配になる方も少なくありません。そのようなときは、外出前の飲食を控えめにし、到着後にゆっくり食事をとることで、排泄のタイミングを調整しやすくなります。また、電車やバスなどが混雑していて周囲の人に押される不安がある場合は、会社の制度にもよりますが、フレックス勤務を活用して、混雑する時間帯を避けて通勤している方もいます。
旅行中に気をつけることや、安心して楽しむためのポイントを教えてください。
食事は、旅行の大きな楽しみの1つです。しかし、旅行では食事のタイミングが普段と異なることがあり、その影響で排泄リズムが変わりやすくなります。普段から、食後どのくらいで排泄があるかを把握しておくと、旅行時に調整しやすくなるでしょう。たとえば、消化管ストーマで食後比較的早く排便がある方は、外出前の食事や水分補給を少し早めに済ませたり、宿泊の場合は夕食を早めに取るようにしたりすると、外出中や就寝中の排泄量を減らすことができます。少しの工夫が旅先での安心感につながります。しかし、特に暑い日や運動をしたときは脱水症のリスクが高くなるので、こまめに水分補給をしましょう。
ガスが溜まりやすい芋類などは、移動前や夜遅い時間は控えると安心です。旅行中は食事内容が変わり、下痢気味になることもあるため、装具は宿泊日数より少し多めに持参しましょう。
宿泊を伴う旅行では、普段と違う環境への工夫が必要になることがあります。たとえば、ウロストミー(尿路ストーマ)の方の場合、就寝時、ベッドであれば床から装具までの高さを確保しやすい一方、布団では床からの高さを確保することが難しい場合があるので、マットレスを2枚重ねにしてもらうなど、事前に宿へ相談しておくと良いでしょう。
また、旅行当日の朝に新しい装具に貼り替えるという方もいますが、面板が皮膚に密着するまでには時間がかかります。旅行の前日に貼り替えておくと、安心して出発できるでしょう。
持ち物の準備も、安心して旅行を楽しむための大切なポイントです。海外旅行では、空港で預けた荷物が行方不明になるロストバゲージが起こることもあります。その対策として、あらかじめホールカットした装具を数枚、機内持ち込みの手荷物に入れておくと安心です。また、ヘルプマークを鞄に付けているオストメイトの方も多いようです。
旅行前日に貼り替えると、面板がよりしっかり密着します。
外出・旅行前に、どんな準備や情報収集をしておくと安心できますか?
外出や旅行をより安心して楽しむためには、事前の準備が大切です。
最近は日本オストミー協会などの患者会の他、インターネットやSNSからも多くの情報を得ることができるようになりました。ただ、SNSの情報は発信者個人の意見や経験であって、他の人には当てはまらない場合もあるので、不安なことは主治医やストーマ外来を頼って相談してください。必要に応じて、状況に合わせたアドバイスができることもあると思います。
以前、修学旅行に参加する高校生のオストメイトと、行程表を一緒に見ながら交換のタイミングを考えたことがありました。このように、医療者と一緒に行き先や移動の流れをシミュレーションしておくだけでも、外出への安心感につながります。団体旅行でも一人旅でも、事前の計画は外出や旅行を成功させる大きなポイントです。事前に外出先の環境を確認しておくのも良いでしょう。たとえば、観光地や宿泊先にオストメイト対応のトイレがあるかどうかをあらかじめ調べておくと安心です。オストメイト対応トイレがない場合でも、通常のトイレで排泄物を処理できるセルフケアが身についていれば十分なので、外出をあきらめる必要はありません。
最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします!
オストメイトの皆さんのなかには、以前のように外出や旅行を楽しみたいと思いながらも、不安を抱えている方がいるかもしれません。しかし、外出や旅行は特別な行動ではなく、〝日常生活の延長にあるもの〞です。体力が回復し、装具の扱いに少しずつ慣れていけば、徐々に再開しやすくなっていきます。
不安なことは、一人で抱え込まず声に出してください。お一人おひとりの状態や目的に合わせて、できることはたくさんあります。医療者に相談していただくことで、ご自身に合ったアドバイスが受けられ、安心につながります。工夫を重ねながら、ぜひ外出や旅行を楽しんでいただければと思います。
ストーマ外来の様子。
外出や旅行に向けて、不安なことは主治医やストーマ外来にご相談ください。
(清藤先生提供)
(発行:2026年3月)

